目次
1. 製品概要
LTC-5685TBZは、青色発光ダイオード(LED)技術を利用した3桁の7セグメント英数字表示モジュールです。明瞭で明るい数値表示を必要とする用途向けに設計されています。本デバイスは、白いセグメント拡散板を備えた黒い表面を特徴としており、優れた文字の視認性を実現する高いコントラストを提供します。主な構造は、サファイア基板上に成長させたInGaN(窒化インジウムガリウム)エピタキシャル層から成り、青色LED製造の標準技術です。この固体設計は、他の表示技術に比べて本質的な信頼性の利点を提供します。
1.1 主な特徴とデバイス識別
本ディスプレイは、電子システムへの統合において、いくつかの明確な利点を提供します。0.56インチ(14.22 mm)の桁高は、視認性とコンパクトさのバランスが取れており、パネルメーター、計測器、民生電子機器に適しています。低消費電力で動作し、省エネ設計に貢献します。高い輝度出力と黒い表面の組み合わせにより高いコントラスト比を確保し、明るい環境下でも数字を容易に読み取ることができます。視野角は広く、様々な位置からディスプレイを明瞭に見ることが可能です。部品は光度(ルミナンス)でビニング(選別・グループ化)されており、生産ロット間で一貫した輝度レベルが保証されます。これは、複数桁のディスプレイが均一に見えるために重要です。さらに、本パッケージはRoHS指令に準拠した鉛フリー製造基準に適合しています。
特定の型番LTC-5685TBZは、右側小数点付きのコモンアノード構成デバイスであることを示しています。TBZという接尾辞は、通常、色(青色)および特定のパッケージまたは機能セットを表します。
2. 機械的仕様およびパッケージ情報
ディスプレイの物理寸法は、PCB(プリント基板)レイアウトおよび筐体設計において重要です。正確な寸法図は原資料を参照するものとし、ここでは主要な公差および組立上の注意点を提供します。特に明記されていない限り、全ての主要寸法は標準公差±0.25 mmでミリメートル単位で規定されています。PCB実装には、ピン用に直径1.00 mmの穴を推奨します。ピン先端の位置ずれ公差は±0.40 mmであり、設計者はパッドレイアウトにおいてこれを考慮する必要があります。品質管理パラメータも定義されており、異物、セグメント領域内の気泡、表面インク汚染はそれぞれ10 mils(約0.254 mm)以下に制限されています。
3. 電気的構成とピン配置
3.1 内部回路図
内部回路図は、ディスプレイの電気的構造を示しています。各セグメント(AからGまで、および各桁の小数点)は、1つまたは複数の青色LEDチップで構成されています。回路内の重要な構成要素は、LEDチップと並列に接続されたツェナーダイオードです。このダイオードは保護素子として機能し、過渡的な電圧スパイクをクランプし、ある程度の静電気放電(ESD)保護を提供します。これは、規定された高いESD耐圧値に対応しています。LEDチップは主波長(λd)470 nmで規定されており、可視スペクトルの青色領域での発光となります。
3.2 ピン接続割り当て
本デバイスは、シングルロー構成で11本のピンを有します。ピン配置は以下の通りです:
ピン1:桁1、セグメントAおよび小数点のカソード
ピン2:桁2、セグメントBのカソード
ピン3:桁3、セグメントCのカソード
ピン4:桁4、セグメントDのカソード
ピン5:桁1、セグメントEのカソード
ピン6:桁2、セグメントFのカソード
ピン7:セグメントGのカソード(各桁共通、ただしアノード選択により制御)
ピン8:桁4のコモンアノード
ピン9:桁3のコモンアノード
ピン10:桁2のコモンアノード
ピン11:桁1のコモンアノード
このコモンアノード構成は、セグメントを点灯させるためには、対応するカソードピンをLow(グランド)に駆動し、かつ目的の桁のアノードをHighに駆動する必要があることを意味します。マルチプレクシング(時分割駆動)により、各桁のアノードを順次有効にしながら、その桁のセグメントデータをカソードラインに提示することで、3桁を独立して制御します。
4. 絶対最大定格および動作限界
これらの定格は、デバイスに永久的な損傷が生じる可能性のあるストレスの限界を定義します。通常動作を意図したものではありません。
電力損失:LEDチップあたりの最大電力損失は70 mWです。これを超えると過熱や急速な劣化を引き起こす可能性があります。
順方向電流:セグメントあたりの連続順方向電流は、25°Cで20 mAと定格されています。この定格は25°C以上では0.21 mA/°Cの割合で線形に低下(デレーティング)します。例えば、85°Cでは最大連続電流は低くなります。パルス条件(デューティ比15%、パルス幅0.1 ms)下では、100 mAのピーク順方向電流が許容されます。これはマルチプレクシングや、より高い瞬間輝度を実現する際に有用です。
温度範囲:デバイスは-35°Cから+85°Cの温度範囲内で動作および保管可能です。
静電気放電(ESD):人体モデル(HBM)ESD耐圧は8000 Vであり、良好な本質的な保護性能を示しますが、適切なESD取り扱い手順は依然として必要です。
はんだ付け:本デバイスは、組立中にユニット本体の温度が最大定格を超えない条件で、フローはんだ付けまたはリフローはんだ付けに耐えることができます。具体的なガイドラインとして、実装面から1/16インチ(≈1.59 mm)下で測定した温度260°Cで3秒間のはんだ付けが規定されています。
5. 電気的および光学的特性
これらのパラメータは周囲温度(Ta)25°Cで測定され、通常動作条件下での典型的な性能を定義します。
5.1 DC特性
光度(IV):順方向電流(IF)10 mAで駆動した場合の、セグメントあたりの平均光度は、最小5400 µcdから典型9000 µcdの範囲です。これは、CIE明所視応答曲線に一致するフィルターを用いて測定された、人間の目で知覚される輝度の尺度です。
順方向電圧(VF):20 mAを流した時のセグメント両端の電圧降下は、典型的に3.6 V、最小3.3 Vです。このパラメータは、駆動回路の電源電圧および電流制限抵抗の設計において極めて重要です。
逆方向電流(IR):逆方向電圧(VR)5Vを印加した時のリーク電流は、最大100 µAです。データシートでは、この逆方向電圧条件は試験目的のみであり、デバイスを逆バイアス下で連続動作させてはならないことが明記されています。
5.2 スペクトル特性
ピーク波長(λp):発光強度が最も高くなる波長は468 nmです(IF=20mA時)。
主波長(λd):これは、LEDの広いスペクトルと同じ色知覚を生み出す単一波長です。470 nmから475 nmの範囲にあります。
スペクトル半値幅(Δλ):これは、最大強度の半分の強度における発光スペクトルの幅であり、典型的に15 nmです。半値幅が狭いほど、スペクトル的に純粋な色であることを示します。
5.3 マッチングとビニング
光度マッチング比:類似発光領域内のセグメントについて、低電流1 mAで測定した場合、最も明るいセグメントと最も暗いセグメントの比が2:1を超えてはなりません。この仕様は、工場でのビニングプロセスと組み合わさり、ディスプレイの全セグメントにわたる視覚的な均一性を保証します。
6. アプリケーションガイドラインおよび注意事項
このセクションには、ディスプレイを最終製品に確実に統合するための重要な情報が含まれています。
6.1 設計および使用上の考慮点
想定用途:本ディスプレイは、標準的な商業用および産業用電子機器向けに設計されています。事前の協議および評価なしでは、安全が重要な用途(航空、医療生命維持装置など)への適合性は認証されていません。
駆動方法:定電圧駆動よりも定電流駆動を強く推奨します。これは、LEDの順方向電圧が温度上昇とともに低下するため、一貫した輝度を確保し、LEDを熱暴走から保護します。駆動回路は、VFの全範囲(3.3Vから3.6V)に対応するように設計され、目標駆動電流が常に供給されることを保証しなければなりません。
電流デレーティング:動作電流は、絶対最大定格で規定されたデレーティングを考慮し、アプリケーションで想定される最大周囲温度に基づいて選択する必要があります。
逆方向電圧保護:電源投入/遮断シーケンス中に逆バイアスまたは大きな過渡電圧が印加されるのを防止するように回路設計を行う必要があります。これが発生すると金属移動を引き起こし、リーク電流の増加や短絡の原因となる可能性があります。
熱および環境:湿気の多い環境での急激な温度変化は避け、ディスプレイ上での結露を防止してください。組立時にはディスプレイ本体に機械的な力を加えないでください。
光学的な一貫性:一つの組立体で複数のディスプレイを使用する場合、色調や輝度の目立つ違いを避けるために、同じ生産ビンからのユニットを使用することを推奨します。
試験:最終製品がディスプレイに対して落下試験や振動試験を要求する場合、機械的ストレスが内部接続に影響を与える可能性があるため、具体的な条件を評価のために共有すべきです。
6.2 保管および取り扱い条件
長期保管には、製品を元の包装のまま保管してください。推奨される保管環境は、温度範囲5°Cから30°C、相対湿度60%以下です。これらの条件、特に高湿度下での保管は、部品リード(ピン)の酸化を引き起こす可能性があり、使用前に再処理が必要になったり、はんだ付け性に影響を与えたりします。したがって、在庫管理を行い、長期保管を避け、部品を適時に消費することをお勧めします。
7. 性能曲線分析
具体的なグラフはデータシートを参照するものとし、このようなLEDの典型的な曲線としては以下が含まれます:
順方向電流 vs. 順方向電圧(I-V曲線):この指数関数的な曲線は、LEDを流れる電流とその両端の電圧の関係を示します。電流制限の必要性を強調しています。
光度 vs. 順方向電流:この曲線は、低電流域では一般的に線形ですが、高電流域では熱効果により飽和する可能性があります。設計者が所望の輝度と効率のための動作点を選択するのに役立ちます。
光度 vs. 周囲温度:これは、接合温度が上昇するにつれて光出力が低下(デレーティング)することを示し、熱管理の重要性を強調しています。
スペクトル分布:相対強度対波長のプロットで、約468 nmにピークがあり、約15 nmの半値幅を示し、青色の特性を確認できます。
8. 典型的なアプリケーションシナリオ
LTC-5685TBZは、明瞭で信頼性の高い数値表示を必要とする様々なアプリケーションに適しています。これには以下が含まれます:
• 電圧、電流、または温度表示用のデジタルパネルメーター。
• POS機器およびレジスター。
• 産業用制御パネルおよびタイマー表示。
• 試験・計測機器。
• 電子レンジ、オーディオアンプ、目覚まし時計などの民生家電。
その青色はモダンな美的感覚を提供し、非常に明るい緑色や赤色のディスプレイと比較して、低照度条件下で目に優しい場合があります。
9. 設計上の考慮点および比較
このディスプレイを選択する際、設計者はそのコモンアノード構成を考慮する必要があります。これは、コモンカソードタイプと比較して、異なるドライバICやマイクロコントローラのポート構成を必要とする可能性があります。典型的な順方向電圧3.6Vは、電流制限抵抗およびドライバ回路での電圧降下を考慮して、通常は少なくとも5Vの電源電圧が使用されることを意味します。真空蛍光表示管(VFD)やより単純な白熱表示などの旧来の技術と比較して、このLEDディスプレイは、低消費電力、長寿命、および優れた耐衝撃性・耐振動性を提供します。LCDと比較すると、バックライトを必要とせずに優れた輝度と視野角を提供しますが、多くのセグメントが同時に点灯する場合はより多くの電力を消費する可能性があります。
LED仕様用語集
LED技術用語の完全な説明
光電性能
| 用語 | 単位/表示 | 簡単な説明 | なぜ重要か |
|---|---|---|---|
| 発光効率 | lm/W (ルーメン毎ワット) | 電力ワット当たりの光出力、高いほどエネルギー効率が良い。 | エネルギー効率等級と電気コストを直接決定する。 |
| 光束 | lm (ルーメン) | 光源から発せられる全光量、一般に「明るさ」と呼ばれる。 | 光が十分に明るいかどうかを決定する。 |
| 視野角 | ° (度)、例:120° | 光強度が半分になる角度、ビーム幅を決定する。 | 照明範囲と均一性に影響する。 |
| 色温度 | K (ケルビン)、例:2700K/6500K | 光の暖かさ/冷たさ、低い値は黄色がかった/暖かい、高い値は白っぽい/冷たい。 | 照明の雰囲気と適切なシナリオを決定する。 |
| 演色性指数 | 無次元、0–100 | 物体の色を正確に再現する能力、Ra≥80は良好。 | 色の真実性に影響し、ショッピングモール、美術館などの高要求場所で使用される。 |
| 色差許容差 | マクアダム楕円ステップ、例:「5ステップ」 | 色の一貫性指標、ステップが小さいほど色の一貫性が高い。 | 同じロットのLED全体で均一な色を保証する。 |
| 主波長 | nm (ナノメートル)、例:620nm (赤) | カラーLEDの色に対応する波長。 | 赤、黄、緑の単色LEDの色相を決定する。 |
| 分光分布 | 波長 vs 強度曲線 | 波長全体の強度分布を示す。 | 演色性と色品質に影響する。 |
電気パラメータ
| 用語 | 記号 | 簡単な説明 | 設計上の考慮事項 |
|---|---|---|---|
| 順電圧 | Vf | LEDを点灯するための最小電圧、「始動閾値」のようなもの。 | ドライバ電圧は≥Vfでなければならず、直列LEDの場合は電圧が加算される。 |
| 順電流 | If | LEDの正常動作のための電流値。 | 通常は定電流駆動、電流が明るさと寿命を決定する。 |
| 最大パルス電流 | Ifp | 短時間耐えられるピーク電流、調光やフラッシュに使用される。 | パルス幅とデューティサイクルは損傷を避けるために厳密に制御する必要がある。 |
| 逆電圧 | Vr | LEDが耐えられる最大逆電圧、それを超えると破壊される可能性がある。 | 回路は逆接続や電圧スパイクを防ぐ必要がある。 |
| 熱抵抗 | Rth (°C/W) | チップからはんだへの熱伝達抵抗、低いほど良い。 | 高い熱抵抗はより強力な放熱を必要とする。 |
| ESD耐性 | V (HBM)、例:1000V | 静電気放電に耐える能力、高いほど脆弱性が低い。 | 生産時には帯電防止対策が必要、特に敏感なLEDには。 |
熱管理と信頼性
| 用語 | 主要指標 | 簡単な説明 | 影響 |
|---|---|---|---|
| 接合温度 | Tj (°C) | LEDチップ内部の実際の動作温度。 | 10°Cの低下ごとに寿命が2倍になる可能性がある;高すぎると光衰、色ずれを引き起こす。 |
| 光束減衰 | L70 / L80 (時間) | 明るさが初期の70%または80%に低下するまでの時間。 | LEDの「サービス寿命」を直接定義する。 |
| 光束維持率 | % (例:70%) | 時間経過後に残った明るさの割合。 | 長期使用における明るさの保持能力を示す。 |
| 色ずれ | Δu′v′またはマクアダム楕円 | 使用中の色変化の程度。 | 照明シーンでの色の一貫性に影響する。 |
| 熱劣化 | 材料劣化 | 長期的な高温による劣化。 | 明るさ低下、色変化、または開放回路故障を引き起こす可能性がある。 |
パッケージングと材料
| 用語 | 一般的な種類 | 簡単な説明 | 特徴と応用 |
|---|---|---|---|
| パッケージタイプ | EMC、PPA、セラミック | チップを保護し、光学的/熱的インターフェースを提供するハウジング材料。 | EMC:耐熱性が良く、低コスト;セラミック:放熱性が良く、寿命が長い。 |
| チップ構造 | フロント、フリップチップ | チップ電極配置。 | フリップチップ:放熱性が良く、効率が高い、高電力用。 |
| 蛍光体コーティング | YAG、珪酸塩、窒化物 | 青チップを覆い、一部を黄/赤に変換し、白に混合する。 | 異なる蛍光体は効率、CCT、CRIに影響する。 |
| レンズ/光学 | フラット、マイクロレンズ、TIR | 光分布を制御する表面の光学構造。 | 視野角と配光曲線を決定する。 |
品質管理とビニング
| 用語 | ビニング内容 | 簡単な説明 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 光束ビン | コード例:2G、2H | 明るさでグループ化され、各グループに最小/最大ルーメン値がある。 | 同じロット内で均一な明るさを保証する。 |
| 電圧ビン | コード例:6W、6X | 順電圧範囲でグループ化される。 | ドライバのマッチングを容易にし、システム効率を向上させる。 |
| 色ビン | 5ステップマクアダム楕円 | 色座標でグループ化され、狭い範囲を保証する。 | 色の一貫性を保証し、器具内の不均一な色を避ける。 |
| CCTビン | 2700K、3000Kなど | CCTでグループ化され、各々に対応する座標範囲がある。 | 異なるシーンのCCT要件を満たす。 |
テストと認証
| 用語 | 標準/試験 | 簡単な説明 | 意義 |
|---|---|---|---|
| LM-80 | 光束維持試験 | 一定温度での長期照明、明るさの減衰を記録する。 | LED寿命の推定に使用される (TM-21と併用)。 |
| TM-21 | 寿命推定標準 | LM-80データに基づいて実際の条件下での寿命を推定する。 | 科学的な寿命予測を提供する。 |
| IESNA | 照明学会 | 光学的、電気的、熱的試験方法を網羅する。 | 業界で認められた試験基盤。 |
| RoHS / REACH | 環境認証 | 有害物質 (鉛、水銀) がないことを保証する。 | 国際的な市場参入要件。 |
| ENERGY STAR / DLC | エネルギー効率認証 | 照明製品のエネルギー効率と性能認証。 | 政府調達、補助金プログラムで使用され、競争力を高める。 |